行動する人の歴史:力はどこからくるか
研究代表:松方冬子
参画教員:松方冬子(史料編纂所)、稲田奈津子(史料編纂所)、三枝暁子(人文社会系研究科)、永井久美子(総合文化研究科)、井坂理穂(総合文化研究科)、後藤春美(総合文化研究科)、水野博太(HMC特任助教)
本研究は、人間とは何をして生きるものかという素朴な疑問から出発し、日本・アジアから新しい世界史を構想する。動詞をキー概念として用いることにより、従来歴史学を縛ってきた時間・空間設定(「近世日本」など)から個々の事象を解き放ち、多角的な議論と歴史の動態的把握を可能にする。同じ関心から砂糖、銅などモノをキーにすることは従来もなされてきたが、逆に特定の史料に依拠する原因にもなった。本研究では動詞をキーにすることで、史料残存状況の悪い地域をも対等に議論に組み込む。とくに権力を生み出す行動に着目し、歴史学の得意分野である権力論をさらに深め、豊かにする。
本研究の遂行は、歴史学のみの力では不可能である。複数部局を横断した人文学ならびに隣接諸学分野の連携が不可欠である。そのため、公募研究フェロー(経験者)を中心に、今までのHMC企画研究の蓄積にも学びながら研究を遂行する。息の長い部局間連携につなげることを目標に、学外プロジェクトとも連携を図り、かつ歴史学やそれを通して人間を語る新しい視点を提示する。