吉村栄吉の時代と人々
研究代表:鈴木将久(人文社会系研究科)
研究分担者:田口一郎(総合文化研究科)、谷口洋(総合文化研究科)、齋藤希史(HMCセンター長、人文社会系研究科)、祝世潔(HMC特任研究員)
学外研究協力者:山崎藍(青山学院大学)、渡邉登紀(日本大学)、宋晗(フェリス女学院大学)、田中雄大(聖心女子大学非常勤講師)
本プロジェクトは、吉村栄吉周辺の人々や学問を掘り出し、文学史の一隅を復元することを目指します。
吉村栄吉氏は1927年当時の東京帝国大学文学部支那哲文科に入り、中国古典文学を学びました。卒業後1934年には中国文学研究会に参加し、雑誌に中国現代文学研究の文章を発表しました。同時に彼の祖父にあたる江戸時代の漢詩人吉村迂齋の漢詩と事績を調査整理し、戦後の1972年に『吉村迂齋詩文集』として出版しました。
吉村栄吉氏の歩みには、日本における中国文学研究が戦前から戦後にかけて向き合った、古典文学と現代文学の関係、中国文学と日本漢詩の関係など、学問の核心を構成する問題が如実に表れています。
このたび、HMCは吉村栄吉氏のご子息から貴重な史料の提供を受けられることになりました。この機会に、人文社会系研究科の鈴木将久教授を中心として現代文学関係の業績と中国文学研究室の歴史を整理する研究班と、総合文化研究科の田口一郎教授、谷口洋教授を中心として江戸漢詩とその周辺の問題を整理する研究班を作り、学内外の研究者とともに吉村栄吉が活動した時代と、彼にまつわる人々の動向を総合的に研究します。
研究の成果は、リエゾントークなど公開の活動、文学部150年史の一環として研究室史の公刊、吉村迂齋の漢詩訳注の出版などの形で社会に還元する予定です。