第5回研究会 「学術資産としての工学史料―東京大学の工学史料キュレーション事業と総合研究博物館の取り組み」
日時:2020年11月13日(金)12:00 - 14:00
新型コロナウイルス感染拡大の影響で本年3月から延期しておりましたが,開催が決定しました。
オンライン(zoomミーティング)でご参加いただけますので,希望される方は下記のフォームから登録してください。
https://forms.gle/f1AKr32pSA4smGER6
登壇者:市村櫻子(前 工学系・情報理工学系等情報図書課長)、寺田鮎美(総合研究博物館インターメディアテク寄附研究部門特任准教授)、尾上陽介(史料編纂所教授)、鈴木淳(人文社会系研究科教授)
概要:
工業化が近代化の特徴であることを思い起こすならば,近代日本と歩みをともにしてきた東京大学のなかでも,工学部はある特別な地位にあることに気づく。
『東京大学百年史部局史III』で語られる工学部史によれば,その源流となった開成学校・工部大学校もふくめ,東大工学部は先進技術を移植し,維持向上させるとともに高級技術者を養成することで,近代日本の具体的な課題に対し科学技術をもって答えてきた。そこで行われた東大工学部と官界・産業界との人的技術的交流は,「東大工学部の系譜につながる層の厚い人脈」(同p.21)を形成したという。つまり東大工学部という集団は,近代史の重要な一面を担ってきた。
それゆえに東大工学部に保管されていた遺物は,新たな価値を持つことになった。図書・図面・文書・機材などからなるそれらの遺物は,確かに同時代的な技術問題に答えるという役割をすでに終えたものの,近代の東京大学と日本を読み解く史料としての価値が見いだされたからである。そのため工学史料と呼ばれるそれらの物品は,東京大学内でも近年関心を集め,収集整理が進められている。工学・情報理工学図書館では2011年以来,東京大学百五十年史編纂を視野に入れつつ工学史料の整理収集が進められており,2019年には「工学史料キュレーションデータベース」が公開された。一方で,同じく東大の工学史料を保有する総合研究博物館では,2017年に「工学主義」展を開催し,工学者を通すことで日本の近代化を読み解くことを試みた。
第五回目となる企画研究「学術資産としての東京大学」研究会では,工学史料キュレーション事業を進めてきた市村櫻子氏(前 工学系・情報理工学系等情報図書課長)と,「工学主義」展を企画担当した寺田鮎美氏(総合研究博物館インターメディアテク寄附研究部門特任准教授)をお招きし,東京大学の工学史料に対する取り組みと史料状況について報告していただく。その報告を受け,ヒューマニティーズセンターフェローである尾上陽介(史料編纂所教授)と鈴木淳(人文社会系研究科教授)が,工学史料をキュレーションすることの意義について日本史学の観点からコメントする。
プログラム:
- 12:00-12:05
鈴木淳 趣旨説明,報告者紹介 - 12:05-12:45
市村櫻子 「図書館業務として進める工学史料キュレーション事業の現状とこれから」 - 12:45-13:25
寺田鮎美 「総合研究博物館の工学史料―全体像と田中家三代史料について」 - 13:25-13:35
尾上陽介 コメント - 13:35-13:45
鈴木淳 コメント - 13:45-14:00
質疑応答
主催:東京大学ヒューマニティーズセンター企画研究「学術資産としての東京大学」