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レポート:第108回東京大学HMCオープンセミナー「解読・公家列影図──血筋・才能・個性と鎌倉時代のキャラクターデザイン」

カテゴリ: 「顔」は何を語るのか──過去から未来へ , 協働研究

2024年3月25日に開催された第108回オープンセミナー「解読・公家列影図──血筋・才能・個性と鎌倉時代のキャラクターデザイン」について、研究分担者である梶谷真司先生に、当日の参加記をご執筆頂きましたので、掲載致します。


公家列影図というのをはじめて見た。その存在も知らなかったが、貴族の肖像画だけを並べたものである。今回、石井悠加先生の調査のおかげで、人物を特定したうえで画像を見比べることができた。誰かが分かるということは、どんな人生を送った人か、誰とどのような関係にあったかなども分かるということである。不遇な人はいかにも幸薄そうに書かれていたり、体格も顔立ちも不格好に描かれている人もけっこういて、なかなかリアルであった。逆にイケメンに描かれている人は、本当にそうだったのか、絵巻を製作した人といい関係にあったからか、家柄がよかったから高貴で品よく描かれたのかなどなど、それぞれの表情や描かれ方からあれこれ推測するのは、彼らの生きた時代に少しでも近づく感覚があり、大変面白かった。デジタル画像であるから、自由に配置を替えたり拡大して、じっくり比較することができたわけで、デジタルヒューマニティーズの威力を実感した研究会だった。

梶谷真司
(東京大学大学院総合文化研究科教授)

協働研究:「顔」は何を語るのか──過去から未来へ