オープンセミナー

解読・公家列影図──血筋・才能・個性と鎌倉時代のキャラクターデザイン

  • 日時:3月25日(月)17:30 - 19:30
  • 開催形式:オンライン開催
  • 発表者:
    石井 悠加(四国大学文学部 講師)
  • 司会・ディスカッサント:
    永井 久美子(東京大学大学院総合文化研究科 准教授)
  • ディスカッサント
    髙岸 輝(東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
    黒田 智(早稲田大学社会科学総合学術院 教授)
    上田 竜平(京都大学 人と社会の未来研究院 助教)

概要

「公家列影図」(京都国立博物館蔵)は、12世紀後半から13世紀前半の大臣経験者の男性たちを、初任時の年齢で、初任時順に描いた肖像絵巻です。絵師は奥書によれば後鳥羽院・後堀河院の時代に活躍した「似絵」の名手・藤原信実とされますが、実際には彼に連なる「絵師の家」に蓄積された下絵や模本を参考に、後嵯峨院の時代に制作されたと考えられています。

端正な顔、ユニークな顔、生真面目な顔や気弱な顔、怒った顔、笑った顔。描かれた57人一人ひとりの表情や姿は、まるで直接スケッチしたように巧みで個性的です。どう描き分けているのか?なぜ制作されたのか?これまでさまざまな観点から考察がされてきました。

今回、彼らの系図や逸話、詩歌管絃の事跡などについて調べたところ、彼らの「顔」に込められた意図を考えるヒントが浮かび上がってきました。「天皇摂関御影」(徳川美術館蔵、鎌倉時代末)や「天子摂関御影」(皇居三の丸尚蔵館蔵、南北朝時代)など、「似絵」の時代への先駆けとなった「公家列影図」の豊かな「顔」の表現の特徴について解読していきます。

関連リンク
e国宝「公家列影図」

関連書籍
加須屋誠『日本美術全集8 中世絵巻と肖像画

協働研究:「顔」は何を語るのか──過去から未来へ