ヒューマニティーズセンターオープンセミナー特別回「屋根裏について」

  • 日時:2019年3月11日(月)15:30 - 17:30
  • 場所:東京大学 東洋文化研究所3階 第1会議室(入場無料 事前登録不要)
  • 報告者:菅原克也(附属図書館副館長,総合文化研究科教授)
  • 題目:「屋根裏について」

「屋根裏」mansarde/grenier/combles(仏)attic/garret(英)という空間をめぐる想像力について考えてみたい。

屋根という構造物に必要とされた「屋根裏」に「屋根裏部屋」が作られ、そこに貧しい若者や芸術家(彼らはしばしばボヘミアンBohemianと呼ばれる)が住むようなると、「屋根裏」という空間はにわかに人間の想像力を刺激するようになる。「屋根裏」は夢が生まれ、育まれ、そして破れる場所となるのである。たとえばプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』La Bohémeを思い浮かべればよい。

「屋根裏」をめぐる想像力を文学に探ろうと思えば、イギリス文学、フランス文学、ドイツ文学、ロシア文学等々からさまざまな例を引き出すことができる。そこは芸術家ばかりか、狂人や殺人犯が潜む場所でもあるのだ。

驚くべきは「屋根裏」をめぐる想像力が大正期の日本にもあったことである。しかも関東大震災後の焼け跡の東京に、屋根裏は数知れず誕生した。

昭和の日本に引き継がれていった「屋根裏」をめぐる想像力について、比較文学研究の立場から語ってみたい。