「あなたの大切な人の顔を思い浮かべてください。」と言われたら、それが家族であれ友達であれ、容易にイメージをすることができるでしょう。ですが、「それはどんな顔ですか?」と問われたら、他人に分かるように言葉で説明することは簡単ではありません。また、「上図のどちらの顔の人の方が信頼できそうですか?」と聞かれたら、パッと答えらえる人が少なくないでしょう。それは「信頼できる顔」の直感的なイメージがあるからだと考えられます。ですが、「なぜその人の方が信頼できると思うのですか?」とたずねられたら、即座に説明することは難しいでしょう。
今回のセミナーでは、こうした「心の中の顔イメージ」にまつわる実験心理学研究の一端をご紹介します。まず、渡邊伸行先生には、目撃者の記憶の中にある顔イメージをコミュニケーションを通じて再現しようと試みる似顔絵捜査についてお話いただきます。次に、今回のセミナーの企画者でもある鈴木敦命(東京大学)が、「以貌取人」等の戒めにも関わらずなぜ人は他人の性格や能力を顔から判断してしまうのかについてお話しします。