オープンセミナー

「顔」は何を語るのか:文学の読み方と「顔」

  • 日時:2023年12月1日(金)17:30 - 19:30
  • 開催形式:Zoomオンライン
  • 報告者
    • 出口 智之(東京大学大学院総合文化研究科 准教授)
    • 永井 久美子(東京大学大学院総合文化研究科 准教授)
  • ディスカッサント
    • 髙岸 輝(東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
    • 石井 悠加(四国大学文学部 講師)
  • 主催:東京大学ヒューマニティーズセンター
  • 登録:https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tZArceigqzwqG9yJllTMbnjYzmVLX29NVocE

概要

登場人物の「顔」の描かれ方、作者の「顔」と作品との結びつき。「顔」の表現は、文学作品の読み方を示すことがあるようです。明治・大正の例を具体的に見てみましょう。

報告1. 明治小説の口絵・挿絵と顔の問題(出口 智之)
明治の小説に附された口絵や挿絵を見ていると、たまに不思議な作品に出会うことがあります。たとえば、森鴎外「文づかひ」の主人公は、明らかに鴎外自身の顔で描かれています。また、樋口一葉「大つごもり」でキーとなる人物、石之助の顔は不自然に隠され、田山花袋「蒲団」のヒロイン芳子も、本来であれば女の顔は絵の華なのに、あえて向こうむきになって描かれていません。描かれた顔と描かれない顔、フィクションの世界に重ねられる作家の顔。それらの顔のなかには、小説を読むためのガイドラインや、近代文学の根幹にかかわる問題までが潜んでいたのです。 

報告2. 「美人」の「基準」と和歌文化――大正期の場合(永井 久美子)
九条武子、柳原白蓮、江木欣々、もしくは林きむ子。彼女たちは、大正期に時代を代表する美人であると称されました。今回のセミナーでは、「大正三美人」なる発想を支えた価値観とは何かを探り、以前のセミナーで検討した「世界三大美人」言説との関連性も考察します。小野小町が「世界三大美人」の一人に数えられたこと、九条武子と柳原白蓮が歌人であったことから、和歌を詠むことと美的評価との関係を考えます。

関連書籍

  • 日本近代文学館編(出口智之 責任編集)『明治文学の彩り 口絵・挿絵の世界​​』(春陽堂書店、2022年)
  • 出口智之『森鷗外、自分を探す』(岩波ジュニア新書、2022年)
  • 荒木浩・前川志織・木場貴俊編『〈キャラクター〉の大衆文化――伝承・芸能・世界』(KADOKAWA、2021年)
    ※永井先生の論文「「世界三大美女」言説と戦後日本の美人観――小町とヘレネの交代から考える」が収録されています。
  • 長谷川時雨著・杉本苑子編『新編 近代美人伝(上)(下)』(岩波文庫、1985年)
    ※下巻に今回取り上げる人物(柳原燁子(白蓮)、九条武子、江木欣々)の評伝が掲載されています。
  • 永井 久美子​​『「世界三大美人」言説の生成――オリエンタルな美女たちへの願望』(Humanities Center Booklet Vol. 6、2020年)
  • 出口 智之『画文学への招待  ―口絵・挿絵から考える明治文化―』(Humanities Center Booklet Vol. 12、2021年)
  • 永井 久美子『排他と頬杖――作家イメージの類型論』(Humanities Center Booklet Vol. 19、2023年)

協働研究:「顔」は何を語るのか──過去から未来へ