法の国際的な平準化──個人情報保護を素材にして
- 日時:2022年4月1日(金)17:30-19:30
- 場所:Zoomオンライン開催
- 報告者:巽 智彦(東京大学法学部・大学院法学政治学研究科准教授)
- 申込:3月30日(水)締切で、下記の様式でお申し込みください。
- 主催:東京大学ヒューマニティーズセンター
ここ数年で、新しいウェブサイトを訪れる際、ポップアップで「cookie」の利用に関する同意を求められることが増えました。その背景には、個人情報保護に関するEUの新しいルールが存在しており、このEUの新しいルールは、いまや世界中に多大な影響を与えるに至っています。今回の報告では、個人情報保護の分野を素材として、法の国際的な平準化という現象の一端を紹介したいと思います。
法は、それを有する団体(典型的には国家)ごとに、その団体の構成員が共有する価値観、文化等に根差した特色を有しています。そのため、異なる法を有する団体が共通の目的のために協力する際には、お互いの法について何らかの調整を行う必要が生じます。こうした調整の結果、各団体に通用する法の内容が緩やかに統一されることを、法の平準化と呼ぶことにします。
個人情報保護に関していえば、通信技術の発展とグローバル化にともない、個人情報が国境を越えてやり取りされる事態が稀ではなくなったため、法の国際的な平準化の必要性は増大しています。先に述べたEUの新しいルールは、個人情報保護に関する法の国際的な平準化において中心的な役割を果たしています。しかし、たとえばアメリカは長年異なる理念の下で動いてきましたし、近時は中国が新機軸を打ち出すなどしています。日本が今後どのようにふるまうべきかも、様々な議論があるところです。
皆さんの生活にも直結する話題が、法という観点からどのように見えるものなのか、ご関心を持っていただくきっかけになればと思います。