オープンセミナー

「リアリティ」の変容/不変容──明治末期定期刊行物における報道への写真の導入

概要

前回の私のセミナーでは、戦後始まったと言われてきた一般雑誌の「見る雑誌」化が、実は戦間期の大衆的な婦人雑誌において既に実現されていたということ、また、そこには多くの報道的な写真記事が掲載されており、その表現は「現実」の再現(臨場感)を追求したものだったということをお話しました。では、そもそも写真は日本の定期刊行物における報道にいつ頃どのように採り入れられたのでしょうか。写真による報道はすぐに定着したのでしょうか。写真の報道への導入は、時事的な情報を得る人々の慣習や「現実」に対する感覚をどのように変えた(または変えなかった)のでしょうか。今回のオープンセミナーでは、報道における写真の使用が拡大した日露戦争期頃の事例、なかでも『近事画報』類に焦点を当て、定期刊行物の報道への写真の導入と展開について改めて考え直してみたいと思います。