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荻生徂徠「官刻六諭衍義叙」をめぐって

概要

2021年に駒場図書館に寄贈された荻生家史料には、徂徠の詩文の貴重な稿本が含まれています。今回はその中から、「官刻六諭衍義叙(かんこくりくゆえんぎのじょ)」の稿本を紹介します。『六諭衍義』は明の洪武帝が庶民教化のために頒布した勅諭である「六諭」に范鋐(はんこう)という人物が解説を施した書物です。徳川吉宗は本書の出版を計画し、徂徠は公儀の命によって本書に訓点を施し、序文を執筆しました。荻生家史料の「官刻六諭衍義叙」の稿本は、修訂の過程が残っているだけでなく、語釈が書き入れられています。稿本の記述から当時の権力者と儒者の関わりについて考えてみたいと思います。

関連書籍

  • 高山大毅『近世日本の「礼楽」と「修辞」── 荻生徂徠以後の「接人」の制度構想』(東京大学出版会、2016年)
  • 澤井啓一・岡本光生・相原耕作・高山大毅訳注『徂徠集 序類1』(平凡社、2016年)
  • 澤井啓一・岡本光生・相原耕作・高山大毅訳注『徂徠集 序類2』(平凡社、2017年)
  • 藍弘岳『漢文圏における荻生徂徠:医学・兵学・儒学』(東京大学出版会、2017年)
  • 殷暁星『近世日本の民衆教化と明清聖諭』(ぺりかん社、2021年)

※ポスター使用画像:「徂徠先生画像」(東京大学駒場図書館蔵)