8・9世紀のフランク王国における法的多元性について考える
- 日時:4月12日(金)17:30 - 19:30
- 開催形式:オンライン開催
- 発表者:菊地 重仁(東京大学大学院人文社会系研究科 准教授)
- 主催:東京大学ヒューマニティーズセンター
- 申込:https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tZIucu6sqDsrGd0FhpVJYB-o-JCtEjtXlhov#/registration
概要
8世紀後半から9世紀にかけて、現在の西ヨーロッパの大半を占めるほどの広大な地域がフランク王国の支配領域となっていました。しかしながらこの一つの政治体は、西方におけるローマ帝国の衰退と消滅、いわゆるゲルマン系諸民族による王国樹立、それらの統合、あるいはキリスト教の制度的・内面的浸透、などといった同地域における歴史的展開を経て成立したものです。それゆえ、一つの政治体でありながら、君主の権威により発布された法令、王国内に居住する諸民族それぞれの法、いわゆる教会法など、多様な法的規範が併存し、場合によってはそれらが相反しさえするという(現在の日本に生きる人々にとっては不自然に見えるかもしれない)状況が観察されます。今回のセミナーでは、現在HMCのプロジェクトの一つとして進行中の手稿本研究の成果も踏まえつつ、このようなフランク王国における法的多元性について解説し、また考察します。
関連文献
- 菊地重仁「西方キリスト教世界の形成」三浦徹編『750年 普遍世界の鼎立』(歴史の転換期3)山川出版社、2020年、79-131頁。
- 佐藤彰一『メロヴィング朝の模索』(フランク史2)名古屋大学出版会、2022年。
- 佐藤彰一『カロリング朝の達成』(フランク史3)名古屋大学出版会、2023年
- 西川洋一「初期中世ヨーロッパの法の性格に関する覚え書」『北大法学論集』41-5·6(1991年)29-121頁。