年齢と投票率

- 日時:2025年2月28日(金)17:30 - 19:30
- 開催形式:Zoomオンライン開催
- 登録先(セミナー中でも登録可能):https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/PxKdAaJbSgGDpCt2osWttA#/registration
- 報告者:福元 健太郎(東京大学大学院法学政治学研究科・法学部教授)
- 言語:日本語
- 主催:東京大学ヒューマニティーズセンター
概要
年齢と投票率の関係については、基本的には年齢が高くなるほど投票率も高くなることが、昔から多くの国で知られている。しかしこれには若年層と老年層とで例外がある。すなわち、最若年層は投票率が最も低い訳ではなく、最老年層も投票率が最も高い訳ではない。本セミナーでは、これらの現象が何故生じるかを検討する私の研究を通じて、年齢と投票率の関係について考察を深めたい。
研究1では、選挙権を得て最初に迎える選挙では、ある種の興奮があるためか、投票率が高いということを明らかにする。市区町村ごとに、ある国政選挙から直近の(国政あるいは地方)選挙までの期間の長さに比例して、その国政選挙が最初の選挙である有権者(新規有権者)がいると想定する。最若年層の投票率を新規有権者の割合に回帰すると、その係数が統計的に有意に正であることが示される。なお本報告は庄司真綸子氏との共同研究である。
研究2では、老年層で投票率が落ちるのは、体力的な負担が一因であることを示唆する。一般に雨が降ると投票率は落ちるが、その程度が年齢と関係することを明らかにする。そのため、市区町村ごとに、年代別投票率を選挙期日の降水量に回帰する。その係数は、50代以降高齢になるほど、小さくなることが示される。なお本報告は正生雄大、庄司真綸子、菊田恭輔氏との共同研究である。
参考文献
- Bhatti, Yosef, Kasper M. Hansen, and HannaWass. 2016. "First-time boost beats experience: The effect of past eligibility on turnout." Electoral Studies 41: 151-158.
- Franklin, Mark N. 2004. Voter Turnout and the Dynamics of Electoral Competition in Established Democracies since 1945. Cambridge: Cambridge University Press.
- Holbein, John B., and D. Sunshine Hillygus. 2020. Making Young Voters: Converting Civic Attitudes into Civic Action. Cambridge: Cambridge University Press.
- Wolfinger, Raymond E., and Steven J. Rosenstone. 1980. Who Votes? New Haven: Yale University Press.
- Zeglovits, Eva, and Julian Aichholzer. 2014. "Are People More Inclined to Vote at 16 than at 18? Evidence for the First-Time Voting Boost Among 16- to 25-Year-Olds in Austria." Journal of Elections, Public Opinion and Parties 24(3): 351-361.