西洋における本の歴史 中身と形態

- 日時: 2025年5月22日(木)17:30 - 19:30
- 開催形式:Zoomオンライン開催(要事前登録)
- 報告者:
- フランチェスカ・ガッローリ(ラウレンツィアーナ図書館館長)
- エウジェニア・アントヌッチ(ラウレンツィアーナ図書館主任司書)
- 司会:ロレンツォ・アマート(東京大学)
- 通訳:渡辺元裕(人文社会系研究科博士課程)
- 言語:イタリア語/日本語(通訳付き)
- 主催:東京大学ヒューマニティーズセンター
概要
2025年3月14日にフィレンツェのラウレンツィアーナ図書館よりオンライン中継された講演会に引き続き、フランチェスカ・ガッローリ(メディチ・ラウレンツィアーナ図書館館長)とエウジェニア・アントヌッチ(同図書館主任司書)の両者をお招きし、文化的で物質的な「もの」としての西洋の書籍の歴史を掘り下げます。本の歴史において、以下の二点が重要となります。まず、粘土板やオストラカ(陶片)から巻子本や装飾写本に至るまでの、文字で書かれた内側と、本の外側の進化です。次に手稿本の筆写と製本における、スクリプトリウム(写字室)と写字生の決定的な役割です。
2名の発表スライドには、ラウレンツィアーナ図書館コレクションから選りすぐりの本の画像が並びます。余り人目には触れないこれらの本から、西洋における文字文化の発展を理解するために不可欠な図書遺産を知ることになるでしょう。
プログラム
第一部「西洋における本の形態」
報告者:エウジェニア・アントヌッチ
発表では、古代世界における文字記録媒体についての概要を、文字の起源からはじまり、とりわけ西洋の手稿本の形態に焦点を当てながら紹介します。実際、文字の誕生以来、極めて多様な文字記録媒体が用いられてきました。たとえば質素なものより高価なもの、壊れやすいものや丈夫なもの、固定されたものや持ち運び可能なもの、即興的に作られたものや意図的に作られたもの(粘土板、木版、オストラカ[陶片]、椰子の葉、巻子本、冊子本など)があります。中身や用途に応じたそれら文字記録媒体の種々の活用法については、主にラウレンツィアーナ図書館コレクションをとらえた一連の図像により理解いただけるでしょう。
第二部「スクリプトリウム(写字室)と写本製法」
報告者:フランチェスカ・ガッローリ
本発表は、羊皮紙や紙についての知識に関する導入部分に続き、写本がどのように作られていたのか、また写字生によって文字を筆写するための準備がどのようになされたか、簡潔に解説します。もっとも写字生とは一体何者で、そしてどんな作業を行っていたのでしょうか?写本の主要な作り手についての簡単なプロフィールも紹介します。
登壇者プロフィール
フランチェスカ・ガッローリ
ラウレンツィアーナ図書館館長。古写本、手稿コレクションや初期印刷物、図書館学や保存の専門家。長年の豊富な経験により、イタリアの文化遺産保護の分野で大きく認められた存在。
エウジェニア・アントヌッチ
ラウレンツィアーナ図書館主任司書。中世およびルネサンス期の写本や蔵書についての展覧会とカタログの監修を行う。数多くの国際的な研究グループや公的委員会に参加。
ロレンツォ・アマート
ルネサンス期の文学や人文主義的教養、書籍の歴史や写本学、そして美術史や文学と美術の関係についての歴史を専門とする。近年、ジョヴァン・バティスタ・ストロッツィ・イル・ヴェッキオ『詩集』の校訂と注釈、東京大学総合図書館のダンテ・コレクションとルネサンス・コレクションに関する調査に従事。