オープンセミナー

中央ユーラシアのなかの大清帝国

  • 日時: 2025年6月20日(金)17:30 - 19:30
  • 開催形式:Zoomオンライン開催(要事前登録)
  • 登壇者:杉山清彦(東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授)
  • 言語:日本語
  • 主催:東京大学ヒューマニティーズセンター
  • 登録先:https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/l7BRbnWVR2OAYPawiCoeww

概要

清、といえばどのようなイメージが浮かぶだろうか。多くの場合、「ラストエンペラー」から想起される、「中国最後の王朝」というものかもしれない。しかし、この王朝に君臨していたのは、まさにその愛新覚羅溥儀という特異な姓名が示すとおり、漢人(漢民族)ではなく、マンチュリア(満洲)に出自するマンジュ(満洲)人だった。では、マンジュ人が建設し、広大な範囲に及ぶモンゴル・チベット・東トルキスタンと、膨大な人口を抱える中国内地とにまたがって広がったこの帝国は、どのような構造をとり、どのような特徴をもっていただろうか。

昨年11月に行なった第124回のセミナーでは、上記のような問題意識のもと、この王権を「最後の中華王朝」としてではなく、「大清という国号を称する、マンジュ人が支配した近世の一帝国」として「大清帝国」と捉え、その構造と特徴について、とりわけ近世ヨーロッパの国制との比較から考察した。今回のセミナーでは、まなざしを中国内地でも遠くヨーロッパでもなく、広大なユーラシアの内陸域、すなわち中央ユーラシアに向けて、大清帝国とマンジュ人を中央ユーラシアのなかに位置づけることを試みる。

ふつう中央ユーラシアといえば、モンゴル帝国に代表される草原の遊牧民や砂漠に点在するシルクロードのオアシスが想起されよう。森深いマンチュリアに住まい、中国内地に本拠を据えたマンジュ人とその国家は、中央ユーラシアの一員といえるのだろうか。今回のセミナーでは、先入観にとらわれずに、新たな帝国像、歴史像について考えたい。

参考文献

  • 杉山清彦『大清帝国の形成と八旗制』名古屋大学出版会、2015。
  • 岡洋樹編『大清国 ユーラシアにおけるマンジュの時代』(東北アジアの社会と環境)古今書院、2025(7月刊)。
  • 岡田英弘編『清朝とは何か』(別冊環)藤原書店、2009。
  • 岡田英弘『モンゴル帝国から大清帝国へ』藤原書店、2010。
  • 羽田正編『地域史と世界史』(MINERVA世界史叢書1)ミネルヴァ書房、2016。