オープンセミナー

音から見た文法

  • 日時:2025年9月29日(月)14:00 - 16:00
  • 開催形式:Zoomオンライン開催
  • 登録先(セミナー中でも登録可能):https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/SxWfB5eHTy2M5XULiGnk-w
  • 登壇者:稲葉治朗(東京大学総合文化研究科教授)
  • 言語:日本語
  • 主催:東京大学ヒューマニティーズセンター

概要

前回2025年2月のセミナーでは、英語などと比較対照もしながら現代ドイツ語の文法的側面を概説しました。今回はその中でも、語順に関わる問題を掘り下げて探ってみます。

各品詞ごとに決まっている語順には言語横断的に一定の傾向があることが知られており、しばしば「主要部パラメータ」という想定の下で捉えられてきました。例えば、一般的に英語は主要部前置型の言語、日本語は主要部後置型の言語、と言われます(動詞と目的語など、日英語の語順が多くの場合、逆になることを参照)。この点でドイツ語は、英語とも日本語とも部分的に異なる振る舞いを示します。

こうした語順パターンを捉えようとする試みとしては、上述の「主要部パラメータ」が代表的なものですが、ここでは発表者が他の研究者と共同で取り組んでいる、音韻の面から語順を導き出そうという試みを紹介します。音韻は、狭い意味での文法(統語論)とは別の部門で扱われるもので、統語部門では諸言語に共通の普遍的な性質(原理)が観察されるのに対し、音韻部門は言語ごとに異なる特徴を有します。言語間の差異は音韻部門における特徴づけから導き出されることが望ましいという近年の理論に即し、各言語における強勢から語順パターンがいかに導き出せるか、ドイツ語を中心に英語とも比較しながら、その研究の一端を紹介します。
セミナー参加においてドイツ語の運用能力は必ずしも前提としません。また、前回のセミナーに不参加だった方でも、今回の参加は可能です。

*時崎久夫教授(札幌大学)、桑名保智准教授(旭川医科大学)との共同研究の一部です。